矢野産info, 培養室から

PGT-Aについて

はじめに

1978年に世界で初めて体外受精が成功してから45年、不妊治療は科学や技術の進歩により新たな展望が開かれつつあります。今回の記事では、当院で導入した最新の技術であるPGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)についてご紹介します。PGT-Aを用いることによってどんなメリットがあるか詳しく見ていきましょう💫

PGT-Aとは?

PGT-Aは、胚の染色体数の異常がないか(数が多くないかもしくは少なくないか)を調べる遺伝子検査です。

妊娠初期流産の多くは赤ちゃんの染色体異常が原因と言われています。PGT-Aを行い正常な染色体数の胚を選び移植することで、流産率の低減に有効であるといくつかの論文でも発表されています。そのため、この検査は流産を繰り返している方や複数回移植しても妊娠に至らない方にとって有効な手段と言われています。

対象となる方

PGT-Aを受けるには日本産婦人科学会の検査対象に該当する必要があります。体外受精で2回以上移植しても妊娠に至らないカップル、または流産を2回以上繰り返したことのある不育症のカップルです。なぜ検査対象があるのか等は日本産婦人科学会のHPに詳しく記載されておりますのでそちらもご覧ください。

日本産科婦人科学会PTG-Aについてはこちら

PGT-Aのプロセス

1.卵子の採取と受精 患者様の卵巣から卵子を採り、パートナーの方の精子と受精させます。
2.胚の培養 受精した卵子は培養液中で成長し、胚に発育します。
3.細胞の採取 適切な段階に発育した胚から5〜10細胞を採取し、遺伝子検査のために検査会社へ提出します。
4.遺伝子検査 抽出された細胞のDNAを検査し、染色体異常を検出します。
5.正常な胚の選択 検査で異常がないことが確認された胚が選択され、子宮に移植されます。

さいごに

着床しない、流産してしまう理由のすべてが胚の染色体異常によるものとは言い切れませんが、一因になる場合もあります。

PGT-Aの導入により、より確実な妊娠の実現に向けて前進しています。この技術を通じて、流産や染色体異常による胎児の合併症のリスクを低減し、カップルが健康な赤ちゃんを迎える可能性を高めるお手伝いができれば幸いです。気になる方や詳細を知りたい方は、当院への受診時にスタッフまでお声掛けください☺

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